セッションのタイトルは「Windowsストアは業務の邪魔者? ~企業向けWindowsストアを活用した最適なアプリ展開と管理手法~」というものでしたが、“邪魔者”というネガティブなワードを使ったのには理由があります。

Windows 10をインストールすると、必ずデフォルトでWindowsストアがインストールされています。2015年9月時点で、Windowsストアは66万9000個のアプリがそろっており、さまざまな用途で利用できます。しかし、このWindowsストアの中にはゲームや音楽、映画といった業務に必要ないアプリも多く含まれており、お客さまの中には「Windowsストアを無効化するにはどうすればいいのか」と聞く人もいます。

このWindowsストアはコンシューマ向けの機能だと思われがちですが、実は企業内で使うことで、多くのメリットが生まれるのです。

●ビジネスでWindowsストアを使うメリット

ビジネスでWindowsストアを使うメリットは、大きく分けて3つあります。まずは優れたアプリによって業務を効率化できる点です。

普段、自分がスマートフォンを使うシーンを思い浮かべてみてください。例えば、人と連絡を取るときには「LINE」を、料理をしたいと思ったときに「クックパッド」のアプリを開いたりしませんか? 買い物をするときに「Amazon」のアプリを開く人もいるでしょう。

業務におけるWindowsストアも、これと同じような役割だといえます。例えば、ToDo管理をしたい場合には「Wunderlist」のアプリ、売り上げの管理をしたい場合には「Dynamics 365」のアプリ、大量データの可視化をしたい場合には「PowerBI」アプリなど、生産性を向上させるためのアプリを用意しています。

ただし、業務では自社開発のアプリを利用しているケースもあると思いますが、その場合もマイクロソフトが提供している「Bridge Tool」を使えば、Webアプリやデスクトップアプリ、iOSアプリが、Universal Windows Platform上で動作できるようになります。詳細は以下のリンクをご参照ください。

・Webアプリ:ホストされたWebアプリ
・デスクトップアプリ:Desktop Bridge
・iOS アプリ:iOS用Windowsブリッジ

将来的には、お客さまの全てのアプリケーションを、Windowsストアからダウンロードし、アプリを一括管理できる体制が作れるよう開発を進めているところです。

●Windowsストア上のアプリが「安全」な理由

Windowsストアアプリを使うメリットの2つ目は「セキュリティ」です。Windowsストアにアプリを掲載するには、マイクロソフトによる厳重な審査を通過する必要があります。必ずWindowsストアポリシーの規則に準じている必要があり、違反するものについては一切通りません。金銭詐欺を目的としていたり、マルウェアが埋め込まれていたり、不正に個人情報を収集したりするようなアプリは、Windowsストア上にはないのです。

また、Windows 10の「Device Guard(コード署名ベースの不正アプリ実行防止機能)」と組み合わせることで、業務端末をよりセキュアな環境にできます。

全ての業務アプリをブリッジツールを用いて、Windowsストアからダウンロードできるようにし、Device GuardでWindowsストアから提供されたアプリのみを実行可能にすることで、信頼できないWebサイトからダウンロードされたアプリや、なりすましメールによる標的型攻撃の対策にもなるのです。

●アプリの管理と展開を効率的に

また、企業向けのWindowsストアを使うことで、管理者が許可したアプリのみをダウンロードさせることが可能になり、管理も楽になります。

管理者が企業向けWindowsストアWebポータルにアクセスし(※Azure ADの管理者アカウントが必要)、展開するアプリを選ぶと、ユーザーがWindowsストアのアプリを起動した際に、そのアプリのみが表示されるようになります。企業向けWindowsストアのメリットは以下の4つが挙げられます。

1. 組織専用のストア(プライベートストア)を構築可能
2. ライセンスの再利用、再配布
3. 請求書や注文書で有料アプリのまとめ買いが可能
4. アプリの更新の自動化

特にプライベートストアは管理者にとって非常に便利な機能になります。通常のWindows ストアと比較して、アプリやゲーム、ミュージック、映画とテレビのタブがなく、管理者が認めたアプリのみが表示されます。

アプリの展開については、無償アプリと有償アプリでフローが変わりますが、どちらにせよ、アプリを入手してユーザーに展開することは容易です。Windowsストアは、企業の生産性やセキュリティを高める切り札になり得る機能です。“邪魔者”扱いせずにうまく使えば、管理者のアプリ展開や更新の負担も削減できるのです。