高度な設定

7月20日、「Windows 10 S」をインストールした「Surface Laptop」の国内発売がスタートした。Windows 10 SはWindowsストアからしかアプリをインストールできず、強固なセキュリティを備えるのが特徴だ。

「Windows 10 S」のインストール方法
7月20日、「Windows 10 S」をインストールした「Surface Laptop」の国内発売がスタートした。Windows 10 SはWindowsストアからしかアプリをインストールできず、強固なセキュリティを備えるのが特徴だ。

そんな中、8月4日にWindows IT Center(https://docs.microsoft.com/en-us/education/windows/test-windows10s-for-edu)でWindows 10 Sを既存の端末に入れてテストするためのインストーラーが公開された。サポートしているのはWindows 10 Pro/Pro Education/Education/Enterpriseとなり、Homeは対象外。Windows 10 Nや仮想OSアプリ上のWindows 10もサポートされていない。

「Test Windows 10 S on existing Windows 10 education devices」ページの中程にある「Download Windows 10 S」内の「Download installer」をクリックし、インストーラーの指示に従って操作すればいい。

筆者は、Windows 10 ProのSurface Pro3にインストールしてみた。すると、最初は「0xc1900204」エラーが出た。Windows Updateの一般的なエラーで、特に原因が確定できない。まずは再起動して、もう一度試してみた。ところが今度は「0xc0000005」エラーになった。これはメモリーに不正にアクセスしたときに出るエラー。先ほどと内容が変わったのでもう一度試すとインストールがスタートした。再インストールにはなかなか時間がかかる。Surface Pro3が発熱でダウンしないように、扇風機の風を当てながら1時間ほど放置した。

何回か再起動して、通常のインストール画面が開く。コルタナが話しかけてくるが、英語になっている。そのまま国やWi-Fi、マイクロソフトアカウントなどの設定を行えば、サインインできる。ちなみに、Windows 10 Pro Insider Previewも問題なく、Windows 10 Sにできた。

教育機関向けにセキュリティを高めた機能制限版のWindows 10。現在は、Windows 10 Pro端末を上書きしてテストすることができる。

 

 

 

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新しいクロスプラットフォームの「マイクラ」、Windows 10/Androidでベータテスト開始

Windows 10 Fall Creators Updateの次のバージョンのプレビューが始動

米Microsoft傘下のMojang ABは7月31日(現地時間)、マルチプラットフォームプレイに対応する「Minecraft」(マイクラ、マインクラフト)の次期アップデート“Better Together Update”のベータテストを開始することを発表した。Windows 10とAndroidを皮切りに、Xbox Oneでもベータ版を提供するという。

“Better Together Update”では、PCやスマートフォン、家庭用ゲーム機(コンソール)、VRデバイスなどから同じサーバーに接続し、一緒に遊ぶことができるようになる。そのほかにも“粗い土(Coarse Dirt)”をはじめとする新要素や、「ペイント 3D」や3Dモデルの共有サイト“Remix 3D”との連携などがサポートされるという。また、コンソール版では画面分割がサポートされる。

Windows 10とXbox Oneでベータ版「Minecraft」をテストしたい場合は、「Xbox Insider Hub」アプリの[Insider コンテンツ]画面から「Minecraft」のベータテストへ参加する。Android版の場合はテストプログラムへの招待ページでテスターへの参加手続きを行えばよい。

 

 

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Windows 10 Fall Creators Updateの次のバージョンのプレビューが始動

Windows版「Firefox」の新規インストールは64bit版がデフォルトに ~「Firefox 55」から

米Microsoftが、Windows 10の次期大型アップデート「Fall Creators Update」の完成に向け最終的な修正や調整に入るなか、その次のバージョンに向けたプレビュープログラムが25日(現地時間)より開始された。

これまでWindows Insider Programでは、常に最新だが不安定なものも含まれるアップデートを受け取る「Fast Ring」と、ある程度安定したアップデートのみを受け取る「Slow Ring」の2つを選択できた。

これに加え、「次のバージョンのWindows」を受け取るのと、「次のバージョンのWindowsをスキップする」選択肢が用意された。標準設定の「次のバージョンのWindows」では、Fall Creators Update(FCU)に向けたビルドを受け取る。ただし、先日発表されたとおり、標準搭載アプリについてはアップデートは適用されない(Windows 10プレビュー版「Build 16232」でインボックスアプリのアップデートが停止参照)。

一方、「次のバージョンのWindowsをスキップする」を選択すると、FCUの次のバージョンのビルドの受け取りが開始。また、Skypeやフォトなど標準搭載アプリについてもストア経由で新機能のアップデートが適宜実施され、OSおよびアプリそれぞれの新機能を検証できる。

現時点では、FCUの次のバージョンは開発が開始されたばかりなので、両者のビルドは同じだが、今後、次のバージョンのビルド番号はFCUを飛び越えていく。この時点から、次のバージョンのビルドからは、OSを再インストールしない限り、FCUのプレビュービルドには巻き戻せなくなる。

FCUが一般公開されると、この「次のバージョンのWindowsをスキップする」の選択肢はなくなる。

 

 

 

 

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Windows版「Firefox」の新規インストールは64bit版がデフォルトに ~「Firefox 55」から

Windows 10プレビュー版タスクマネージャーのGPU表示が“マルチエンジンビュー”に変更

8月8日(米国時間、以下同)にリリースされる予定の「Firefox 55」では、Windows向けのスタブインストーラーでセットアップされる「Firefox」がデフォルトで64bit版となることが明らかになった。

“Google グループ”に投稿された記事によると、64bit版「Firefox」がインストールされるのは、64bit版のWindowsを利用しており、かつ2GB以上のメインメモリを搭載している環境。メインメモリが少ない環境に64bit版「Firefox」がインストールされないのは、十分なパフォーマンスが期待できないためであるようだが(2GBのメインメモリは64bit版Windows 10のハードウェア要件でもある)、今後の実験の結果次第ではこの制限が削除される可能性もあるとのこと。

64bit版「Firefox」は32bit版よりも少しフットプリントが大きくなるが、安定性向上などの恩恵を受けることができる。2GB以上のメインメモリを搭載していれば、コンテンツプロセスとブラウザープロセスで約20%、プラグインプロセスで80%のクラッシュ率低下がみられるという。

なお、9月26日にリリースされる予定の「Firefox 56」では、新規インストールだけでなく、すでにインストールされている32bit版「Firefox」の64bit版移行も開始される予定。現在のところ、64bit版Windowsで「Firefox」を利用しているユーザーのうち70%が32bit版を利用しているが、要件を満たしているならば順次64bit版への移行が実施されるだろう。詳しいスケジュールについては“MozillaWiki”を参照のこと。

 

 

 

 

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Windows 10プレビュー版タスクマネージャーのGPU表示が“マルチエンジンビュー”に変更

「Windows 10」の「Timeline」は今秋アップデートに間に合わず

米Microsoftは13日(現地時間)、PC向けWindows 10 Insider Preview「Build 16241」をFast ringで配信開始した。

前回のビルドでタスクマネージャーのGPU項目に改良が加えられたが(タスクマネージャーに新設されたGPUのパフォーマンストラッカーを改良参照)、今回もブラッシュアップが続いている。

Build 16241では「パフォーマンス」タブのGPU項目で、使用しているGPU名(Intel HD Graphicsなど)が表示されるようになった。また、GPU使用率を示すパフォーマンスチャートに関して、マルチエンジンビューが標準となり、「3D」、「Copy」「Video Encode/Decode」、「Video Processing」の4つが表示されるようになっている。マルチエンジンビューはチャートを右クリックして、シングルエンジンビューに切り替えることも可能。

GPUのメモリ使用量の表示(GPU Memory)に関しては、上の画像にあるように専用メモリと共有メモリが「0.4/2.0GB」といったふうに隣り合わせでウィンドウの下部に配置されるようになった。

このほか、DirectXのバージョンにフィーチャーレベルも含めて表示するように変更されている。

Build 16241におけるタスクマネージャーの更新には、GPU以外にも標準ブラウザEdgeのプロセス表示に関する修正もあり、「Chakra JIT Compiler」、「UI Service」、「Manager process」といったEdgeの内部プロセスが表示されるようになっている。

 

 

 

 

 

 

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「Windows 10」の「Timeline」は今秋アップデートに間に合わず

複数のWindows 10でアップデート設定を変更するのが面倒! ~“更新プログラムの提供方法”を効率よく設定するワザ

Timelineは、ベルフィオーレ氏が5月の「Build 2017」で発表した、Microsoftのクラウドを介してWindows、iOS、Androidを横断したアクティビティ履歴をさかのぼれる機能。「Microsoft Graph」の一部だ。

「遅れについて何かコメントは?」というウォーレン氏の質問にベルフィオーレ氏は「これは遅れではない」と答え、別の返信で「私の見解では、一連の機能はFCUから提供を開始すると説明したつもりだ。そのときまだ(時期は)確実ではないとも言ったと思う」とツイートした。

確かにMicrosoftの「Windows 10 に間もなく追加される機能」ページでTimelineは「Windows 10 Fall Creators Updateで導入されるこれらの革新的な機能」の1つとして紹介されてはいるが、注意書きとして「製品は開発中です。機能、スケジュール、デバイスは変更になる可能性があります」とも明示されている。

Microsoftは4月、今後の大規模アップデートは3月と9月の年2回行うと発表した。ビルドに入った機能がすべて次のアップデートで正式版になるとは限らないが、早ければ来年3月にTimelineを使えるようになるかもしれない。

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「Windows 10 Insider Preview」Build 16215が公開 ~3週間ぶりのリリースで内容盛りだくさん

Windows 10は更新プログラムを取得する際、LAN上やインターネット上のPCから部分的にダウンロードし、所要時間の短縮やネットワーク帯域の消費を抑えることが可能になりました。


Windows 10は“配信の最適化”機能を利用可能

英語版Windows 10では「Delivery Optimization(配信の最適化)」と呼ばれる本機能は、更新プログラムをローカルストレージに一時保存し、分割したデータを配信・受信する仕組みです。

一見すると改ざんのリスクがあるように見えますが、ハッシュ値などの情報をもとに信頼性をチェックしているため、マルウェアなどが侵入する可能性はありません。より詳しい情報はMicrosoftのWebページを合わせてご覧ください。

上図で示したように配信の最適化機能は、機能自体の有効・無効と[ローカルネットワーク上のPC]と[ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC]という選択肢があります。

■たくさんのPCに同じ設定を適用するならレジストリ上で操作する方が効率的

これらの設定はGUI上で簡単に設定できますが、複数のPCに対して操作するのは面倒なことこの上ありません。そこで本機能をレジストリ上で操作する方法を紹介しましょう。ただし、Homeエディションでは未対応です。

regaddHKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows\DeliveryOptimization/vDODownloadMode/tREG_SZ/d3/f

レジストリによる操作を行うと記事冒頭にある図のように、“一部の設定が組織によって非表示になっているか、管理されています”という赤色のメッセージが加わり、設定が固定されます。

ここでポイントとなるのが、“/d ”の後に指定する数値。“0”の場合はHTTPのみ利用し、配信の最適化機能を利用しません。“1”ではHTTPおよびP2Pを利用する[ローカルネットワーク上のPC]を選択した状態です。“2”を指定すると、LAN上のActive Directoryサイトを利用して、同じドメイン内でHTTPおよびP2P上のPCで送受信を行います。

“3”は[ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC]を選択した状態となり、“99”はP2Pを利用せずHTTP経由でのみ配信の最適化を行います。最適化を管理するクラウドサービスは利用しません。そして“100”は配信の最適化を行わないため、MicrosoftはBITS(バックグラウンド インテリジェント転送サービス)の利用を推奨しています。

多くの場合は“3”を選択するのがベストですが、ドメイン環境を利用している場合は“2”なども良い選択肢となるでしょう。なお、本設定が不要になった場合や、GUI上で操作したい場合は、以下の内容を管理者権限で起動したコマンドプロンプトにコピー&ペーストしてください。

 

 

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Windows 10本命アップデート「Fall Creators Update」の気になる中身

米Microsoft Corporationは8日(現地時間)、「Windows 10 Insider Preview」のPC版Build 16215およびモバイル版Build 15222を、“Windows Insider Program”の“Fast”リングの参加ユーザーに対してリリースした。現在、“Windows Update”から更新できる。前回のリリースから少し間が空いたが、その分内容は盛りだくさんだ。


■[スタート]画面と“アクション センター”にアクリル効果が追加

まず目につくのが、[スタート]画面と“アクション センター”にアクリル効果が追加されたことだろう。“Build 2017”で発表された新しいユーザーインターフェイスデザイン“Microsoft Fluent Design System”の一部が導入された格好だ。

そのほかにも、[スタート]画面ではリサイズやタブレットモードへの移行がスムーズになった。“アクション センター”では通知のデザインが再設計されており、通知を行ったアプリと通知の内容の関係がわかりやすくなっている。

■[共有]画面からリンクをクリップボードへコピー可能に

[スタート]画面と“アクション センター”以外にも、シェルにいくつかの改善が盛り込まれている。

たとえば[共有]画面では、リンクをクリップボードへコピーする機能が追加された。同種のことを実現するストアアプリもあるが、それらを導入せずとも簡単にアプリからリンクが得られる。

そのほかにも、ローカルのメディアファイルを検出する処理が改善。ライブラリ以外のフォルダーに画像・音楽・動画ファイルが保存されている場合、それをソースに含めるかを提案してくれるようになった。また、“My People”や“夜間モード”なども改善されている。

■「設定」アプリでOS組み込みのビデオ再生に関する設定を行えるように

「設定」アプリでは、[個人用設定]-[ビデオの再生]セクションが新たに追加された。このセクションではOS組み込みのビデオ再生に関する設定を行うことが可能で、HDR対応モニターが1つ以上接続されている場合は、追加の設定を行うこともできる。

また、[アプリ]-[既定のアプリ]セクションでは、“アプリによって規定値を設定する”オプションが追加された。これは「コントロール パネル」の機能を移植したもので、アプリがハンドリング可能な拡張子のうち、特定の拡張子だけを他のアプリで扱いたいといった場合に役立つ。

そのほかにも、ネットワーク接続や“Windows Update”関連のユーザーインターフェイスが改善されている。

■“コルタナ”には画像からリマインダーを作成する機能が追加

パーソナルアシスタント“コルタナ”では、画像認識技術によりリマインダー機能がさらに強化。たとえば、内蔵カメラで撮影したイベントポスターからスケジュールを読み取り、リマインダーへ登録できるようになった。

さらに、スクリーンの指定領域を読み取ってリマインダーを登録する機能も追加された。この機能は“Cortana Lasso”と呼ばれており、映画のポスター画像から上映開始時間を読み取り、リマインダーに登録するといったことがシームレスに行える。この“Cortana Lasso”機能は、ペンのボタン長押しなどから簡単に呼び出せる。

ただし、これらの機能は現在のところ米国でのみ利用できる。また、利用にはインターネット接続が必要だ。

■そのほかの変更と注意点

さらに、「Microsoft Edge」では好みのWebサイトをタスクバーへピン留めする機能や、EPUB電子書籍に注釈を書き込む機能がサポートされた。そのほかにも、“ゲーム モード”、ペン入力、日本語入力、アクセシビリティなど改善は多岐にわたる。

なお、本ビルドには“Windows Update”からオンデマンドで提供される機能が追加できないという不具合がある。開発者モード、.NET Framework 3.5、音声パックなどが必要な場合は、あらかじめ導入してからアップデートする必要があるので注意。

 

 

 

 

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Windows 10本命アップデート「Fall Creators Update」の気になる中身

未発表の「Windows 10 Cloud」搭載デバイス、「Chromebook」に対抗か

米Microsoftは5月10日~12日(米国時間)、米ワシントン州シアトルにて年次開発者会議の「Build 2017」を開催した。さまざまな技術やサービスの発表を通じて、同社が今後注力していく分野、そして世界的な新しいITトレンドをいち早く知ることができるため、開発者に限らず注目のイベントだ。


2日目の基調講演では、Windowsの開発責任者であるテリー・マイヤーソン氏が登壇するなど、Windows関連の最新トピックが多数紹介された。ここでは発表内容のポイントを3つに絞って解説していく。

●(1)過去2年の集大成を目指す「Windows 10 Fall Creators Update」

マイヤーソン氏は、これまでRedstone 3(RS3)の開発コード名で呼ばれてきたWindows 10の次期大型アップデートの正式名称が「Fall Creators Update」であることを発表した。

Windows 10の大規模アップデートが「春(Spring)」と「秋(Fall)」の年2回制に固定されたことを反映しての命名だと思われるが、現行のRedstone 2(RS2)こと「Creators Update(1703)」が当初計画における完成途上版だとすれば、Fall Creators Update(RS3)はその集大成と言える。

例えば、1年前の「Build 2016」でお披露目された機能や新技術が、ようやく巡り巡ってFall Creators Updateの世代で本格実装が行われるなど、Redstoneシリーズの集大成とすべく開発が進んでいるからだ。

典型的なものの1つとしては、2016年後半に話題となった新しいデザイン言語の「Project NEON」が挙げられる。PCだけでなく、モバイルからゲーム機、HoloLens、Windows Mixed Realityまで、新しい世代のデバイスでも共通で使いやすいデザインを策定すべく準備が進められていたものだ。

Creators Updateでも既に一部アプリへの実装が進んで確認できるが、今回はこの名称が正式に「Microsoft Fluent Design System」と発表され、多くのアプリ開発者も巻き込んでWindowsの標準UIとなるべく大きく動きつつある。特徴としては、UIの「奥行き」や、情報を視覚化する「モーション」、そして「質感」と、3Dや仮想現実(VR)の世界を意識した要素が新たに加わった。

また、今日のスマートデバイスを活用した作業においては、デスク上のPCだけでなく、場合によってはタブレットでレイアウトを確認したり、あるいはスマートフォンを持って外出して出先で情報をチェックしたりと、デバイスが中心ではなく、人やコンテンツを中心に進むことが多い。

こうしたアクティビティーや作業途中のファイルなど、デバイスやアプリケーション間でスムーズな受け渡しを可能にすべく、「Microsoft Graph」を使ってクラウド上で引き継ぎを行う仕組みが提供される。

さらに「OneDrive Files On-Demand」という仕組みを使えば、例えば作業中のファイルをデスクトップ上に置きっ放しにして外出したとしても、OneDriveを介して適時サルベージが可能になる。

こうしたデバイス間でのファイル利用状況も適時アップデートされ、保存場所を意識せずに済むというのは、DOS時代から綿々と受け継がれてきたファイルシステムの「くびき」からようやく解放されつつあることを示しているのかもしれない。

このほか、作業したファイルを時系列で一覧表示させる「Time Line」機能も用意される。

これらデバイス間の連携はWindowsだけでなく、今日スマートデバイスの世界で同OSをしのぐシェアを誇るAndroidとiOSとの間でも利用できる。

例えば、Windows 10のNewsアプリで記事を途中まで閲覧した状態で外出した場合、手持ちのiPhoneにインストールした音声対応アシスタントの「Cortana」がそれを通知してくれて、読み途中の状態から購読を再開できる。

また、クラウド上にクリップボードを展開することで、例えばAndroidにMicrosoftのSwiftkeyキーボードを導入している場合など、デバイス間をまたいでクリップボード履歴から長文のコピー&ペーストが可能になるため、わざわざフレーズを再入力して検索作業を行う必要はない。

この仕組みは「Project Rome」としてBuild 2016で発表されたもので、1年以上の月日を経てようやく形になってきた印象だ。ただ、Project Romeは対応アプリにSDKを導入するというハードルがあり、これがどれだけ便利に利用できるかはサードパーティーの意向次第と言える。当面はMicrosoft純正アプリをより便利に使う機能にとどまることになるだろう。

前回のBuild 2016で大きな話題となったものには、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」もある。Linuxアプリケーション上のシステムコールをWindowsに直結させるサブシステムを用意することで、例えば「Bash」を利用できたり、ELFバイナリをWindows上で直接動作させられたりする。

2016年8月に配信開始のRedstone 1(RS1)こと「Anniversary Update(1607)」以降に正式サポートされ、少々特殊な手順を踏むことでUbuntuがWindows上で動作させられるようになったが、今回の発表ではUbuntuの導入がWindowsストアを通じて可能になった。さらに、SUSEやFedoraもWSLに対応し、やはりWindowsストア経由で導入できる。

PowerShellなどが利用できない「Windows 10 S」対策の一環と思われるが、Xamarinを含めてあらゆる種類のデベロッパーをWindows上でフォローしていく姿勢がより明確になりつつある。

●(2)Windows 10のmacOS化が進んでいる?

2日目の基調講演で個人的に最もひかれたのは「Windows Story Remix」だ。動画などの要素を組み合わせて利用者オリジナルの「ストーリー」、つまり独自に編集したビデオを簡単に作成できる。さまざまなエフェクトや、AIを駆使して特定の人物のみにフォーカスした映像をコンピュータが自動的に再編集できるなど、過去に存在した動画編集ソフトウェアに比べても非常に「インテリジェント」な仕上がりだ。

動画内の人物を認識するだけでなく、特定のオブジェクトの動きを自動追跡することもできる。サッカーボールにエフェクトを与えた場合に、そのエフェクトがボールの動きに追随するようになる。人物の動きが分かりやすいよう矢印でキャプションを添えると、動画内の動きに合わせてキャプションの位置も動く、といった具合だ。

さらに、Creators Update以降に追加された3Dデータ編集アプリ「Paint 3D」と連携して作成したオブジェクトを登録可能なサイト「Remix 3D」へと接続して、ここで登録された3Dオブジェクトを素材としても利用できる。

例えば、「Fireball」のオブジェクトをシュートシーンのボールに重ねておくと、あたかも燃えながら飛んでいくようなシュートが動画上に再現される。シュートのタイミングで爆発のエフェクトを加えると、より派手な演出となる。かつての一般向け動画編集ソフトウェアでは難しかった強力な機能が、クラウド上のAIを使うことで手軽に実現可能になったわけだ。

こうしたリッチな標準アプリをWindowsに標準添付することは、かつてのMicrosoftではあまり考えられなかった。Windows OSという屋台骨を提供する裏方に徹し、むしろサードパーティーやOEMメーカーの活躍する場を積極的に用意していたような印象がある。

同社がアンチウイルスの市場に進出してWindowsへのソフトウェア提供を開始した際に、同様のソリューションを提供していたサードパーティーらの反発を呼んだように、かつては独占禁止法の観点からも、こうした競合を避けていたのかもしれない。

しかし昨今、よりリッチで優秀なソフトウェアやハードウェアをファーストパーティーとして積極的に投入し、サードパーティーやOEMの市場を侵食していくというのは、Appleが繰り返してきた手法と言える。

Appleは過去に「iPhoto」や「iMovie」によって手軽な素材管理やリッチな編集といった環境を提供し、「iWeb」で再配布する手段も用意するなど、プロフェッショナル以外の分野におけるサードパーティーの活躍の余地を「iLife」製品の数々で奪ってきた。現在はWindows 10が、その道をたどりつつある。

「競合と戦ってユーザーに認めてもらうには、より優秀な製品でなければならない」とばかりにMicrosoftがこうした方針転換を始めたのは、2012年に投入したWindows 8の時代にさかのぼる。スマートフォンやタブレットの台頭に合わせてユーザーインタフェースをタッチ操作向けに大きく変更し、OEMの市場を食う勢いで「Surface」という2in1タイプのハードウェアを投入するなど、自ら新たな市場を開拓する立場となった。

こうしたWindows 8からのMicrosoftの冒険は苦難の道のりだったが、Windows 7とWindows 8のいいとこ取りをしたWindows 10を2015年に公開してから、3度の大型アップデートを経て、次回の4度目となるFall Creators Updateでは、いよいよ努力が結実しつつあるのではないだろうか。

とはいえ、MicrosoftがAppleと大きく異なっているのがデバイス戦略だ。AppleはMacからiPhoneまで、全てのデバイスやサービスを自社製品で囲い込むのが基本だが、残念ながらMicrosoftはスマートフォン市場でのプレゼンスが弱く、どうしてもAndroidやiOSとの連携が必要になってくる。

Project RomeやXamarinはこれを補完するものだが、フロントエンドのデバイスの世界ではAppleほど一貫した操作体験を提供できないという弱みもあり、これは恐らく今後も解決するのに時間がかかるだろう。

ただし、クラウド方面に関してはAppleに対して秀でており、今後のMicrosoftはどちらかと言えば、「雲の上」がライバルとの主戦場になるだろう。今回のBuild 2017では、同社のクラウド重視傾向がより濃く出ていた。

●(3)クラウドとAIに傾注するMicrosoft

身近なWindowsの話題から紹介したが、今後のMicrosoftや世界のITトレンドを大きく左右するような発表の多くは、1日目の基調講演に詰まっていた。

エッジデバイスをインテリジェント化する「Azure IoT Edge」、本稿でも触れたOffice 365のデータを活用する仕組みである「Microsoft Graph」のさらなる拡張、地球全体にスケールアウトする高レスポンス巨大データベースの「Azure Cosmos DB」、Mac上の開発者も取り込む「Visual Studio 2017 for Mac」などはその一例だろう。

1日目の基調講演の最後には、Microsoft AI and Research担当のハリー・シャム氏が登壇し、同社のAIに対する最新の取り組みを語った。

Skypeのリアルタイム翻訳はその一部だが、PowerPointによるプレゼンテーションの適時翻訳を可能とする「Presentation Translator」や、これらAIの仕組みをフロントデバイスを通じて利用可能にする「Cortana Skills Kit」、29種類まで拡張された「Cognitive Services」と、今日の生活を大きく改善する可能性を秘めた技術の下地は整いつつある。

例えば、写真管理アプリにおける画像検索においても、既にCognitive Servicesを使ったAIによる自動認識なしには成り立たないレベルになりつつある。Microsoft Graphなどの仕組みも合わせて、従来型のファイルシステムやデータ管理システムとの決別がやって来る日は近いかもしれない。

 

 

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Windows Centralが、Microsoftの機密文書とみられる情報を入手したと報じている。この文書は、まだ公式発表されていないOS「Windows 10 Cloud」向けに推奨される最小構成を概説するものだ。

Windows 10 Cloudを搭載するデバイスは、「Chromebook」と競合することになるようだ。Microsoftは米国時間5月2日のイベントで、Windows 10 Cloudと同OSを搭載する何らかのデバイスを発表するとみられている。

現時点でわかるかぎりでは、Windows 10 Cloudは、クラウドとほぼ無関係だ。同OSは、「Windows 10 Store」のアプリしか動作しないローエンド版Windows 10という位置づけであり、多くの点で旧モデルの「Windows RT」や「Windows 7 Starter Edition」に似ている。ただし、テスターらが確認したように、Windows 10 Cloudは「Windows 10 Professional」にアップグレードできるようだ。

Windows Centralによると、Windows 10 Cloudを搭載するデバイスの推奨最小構成は、クアッドコア「Celeron」以上のプロセッサと4GバイトのRAM、32Gバイトのストレージ(64ビット版OSの場合は64Gバイトのストレージ)、40WHr(ワット時)以上のバッテリ、高速なeMMCまたはSSDのストレージとされている。なお、スタイラスペンとタッチ画面はオプションとなっている。

流出した文書をによると、これらのデバイスは、「Creators Update」版Windows 10 Cloudを搭載するという。従って、9月に予定されている大型アップデートの「Windows 10 Redstone 3」を待つ必要はなさそうだ。流出文書にARMベースのデバイスに関する言及はないが、うわさでは、Windows 10 CloudがIntelベースとARMベースの両デバイスに搭載されるという。

流出文書を見る限り、Microsoftとパートナー各社は、これらのWindows 10 Cloudデバイスで直接Chromebookに対抗する狙いのようだ。そうした意図は、これらのデバイスに搭載されるバッテリが10時間以上持続する点に表れている。バッテリ駆動時間が10時間以上になると、マーケティング用語では「終日」と言えるからだ。

Windows Centralが記事で取り上げた文書について、Microsoftにコメントを求めたが、広報担当者は「公表できることは何もない」と述べた。

 

 

 

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